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半纏・法被の模様・腰柄・総柄について|オリジナル半纏・法被の加藤健旗店

投稿日:2021年9月26日 更新日:

半纏・法被の紋様や柄にはどのような種類があるか

半纏・法被のデザインの表現方法はシンプルではありますが、その中にも紋様や柄の入り方に色々な種類があり、それぞれに意味があります。

既に半纏・法被を持っておられる方はそこに描かれている柄がどのようなものなのかを知ることでより愛着が湧きますし、また、これから作られるという方にも、柄の種類やそれぞれが持つ意味を知っておくことで、お考えの紋や文字などのデザインと組み合わせてより風格のあるものになります。

半纏・法被について何も知らないという方や、これから風格ある半纏・法被を作りたいという方もこの記事を読んで頂くことで、代表的な柄の種類や意味を把握頂き、デザインに活かすことができますので一緒に確認していきましょう!

柄を入れる場所や、それぞれの場所の意味合いなどについては、半纏・法被のデザイン、仕立てについて の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

 

同じ柄でも、染めの表現方法による違いがある

具体的な柄や模様の話の前に、前情報程度に見ておいて頂きたいのですが、同じ柄や模様、文字であっても染める際の表現方法によって、呼び方も雰囲気も異なりますので、先に整理しておきたいと思います。

・日向(白抜き)

一般的に白の文字を染め抜くことを日向(ひなた文字)と言います。

・影(地色と同じで白縁)

白の縁取りで文字を表すことを影文字と言います。

・フチ付き色指定

白の縁取りで文字に地色と異なる色を付けることを言います。

 

柄の種類とよく使われている紋様

腰柄

半纏・法被の腰まわりを1周するように描かれている柄を腰柄と言います。デザインの検討要素として重要な部分で、古典的な縁起の良い柄を描く場合や、屋号やこだわりの文字を角字で表現することが多いです。

腰柄の角字

腰柄の角字

古典的でよく使われる柄

れんが

レンガが積み重なっているような柄で、白抜きにすることもあります。背紋との組み合わせでよく映える柄です。

腰柄 レンガ

腰柄 レンガ

腰柄 レンガ 日向

腰柄 レンガ 日向

 

吉原つなぎ

連続的につながれた鎖のような紋様で、現在は人と人を結ぶ良縁を意味していて人間関係を豊かにするという文様としての想いも込められています。

吉原つなぎ 前

吉原つなぎ 前

吉原つなぎが二段に重なった文様は「子持ち吉原」と呼ばれ、その意味を世代を超えて持たせるよう描かれています。

吉原つなぎ2段

吉原つなぎ二段

二引き

長折や陣幕に用いられる、太線と細線を組み合わせた染め方が由来となっています。のちに半纏・法被としては太線2本を使った、シンプルで力強いデザインとして作成され人気となりました。他の図柄と合わせて使われることもあり「吉原の二引き」といった使い方もします。腰柄としてはシンプルですっきりしているため、デザイン性を高める要素としても使える柄です。

二引き 前

二引き 前

二引き 後

二引き 後

 

 

二引き 曲線 前

二引き 曲線 前

二引き 曲線 前

二引き 曲線 前

 

市松模様

碁盤目状の格子の目を色違いに並べた模様で昔は石畳のような柄だったため、石畳と呼ばれていました。江戸時代の歌舞伎役者、初代佐野川市松が舞台でこの文様を袴(はかま)に使ったところ女性の小袖の柄として大流行したためと言われています。その柄が途切れることなく続いて行くことから、繁栄の意味が込められており、子孫繁栄や事業拡大など縁起の良い模様として沢山の人に好まれています。

市松 前

市松 前

青海波

複数の筋の円を互い違いに重ねていって作られる模様です。日本では古くから雅楽の装束に使われてきました。波の模様としては、寄せては返す穏やかな波を連想させることや、末広がりの扇形(=寿恵廣)であることなどから、平穏なくらしが続くようにという願いやおめでたい柄として使用されています。

青海波 前

青海波 前

御所車

平安王朝の皇族や貴族たちが、外出に用いた牛車のことで、現代においては御所車文が意匠化され華やかで豪華な文様になりました。また、御所車文様は冨と豊かさを象徴する吉祥文として使われるおめでたい文様です。

御所車 前

御所車 前

・藤の山道

藤は繁殖力が強く、他の樹木に絡みながら伸べていくことから長寿、子孫繁栄の象徴とされてきました。花の文様と曲線が美しい柄のため、応用して独自の柄に変換するのも一つの方法です。

藤の山道 前

藤の山道 前

藤の山道 後

藤の山道 後

 

・角字

 限られた空間や小さなサイズ、特定の制限の中で、様々な表現を駆使しようとする表現方法として、漢字を縦横同じ巾の線で四角の中で紋様化したものです。同じ漢字でも割り方を変えるなど、線の処理の仕方で個性を出すことができます。

生田組様 庭師半纏 角字

生田組様 庭師半纏 角字

また、腰よりも下部の裾付近に巴柄(コンマあるいは勾玉のような形をした日本の伝統的な文様)が入っている場合は、裾柄ということもあります。

袖繋ぎ

肩から袖口に走る柄のことを袖繋ぎと言います。消防半纏に多く見られ、消防半纏にルーツがある場合や、関係する場合に使われることがある他、デザイン性の面で粋で魅力的な柄であるため使用される場合があります。赤色の線が使われることが多いですが、違う色やオリジナルの模様にしても問題なく、アクセントに使われることがあります。

袖繋ぎ

袖繋ぎ

総柄

総柄というのは、腰や腕などの特定の場所のみではなく、全体的に柄が入っていることを言います。江戸半纏に多く見られ、昔ながらの火消しや祭りの活気が伝わる粋なデザインとして使用されてきました。その中にも柄の種類によってそれぞれ意味がありますので、総柄のデザインを選択する際の参考として見ていきましょう!

沙綾型

「卍」の続き柄になっていることから「卍崩し文様」とも呼ばれ、「不断長久」を意味する縁起の良い吉祥文様でもあります。そのことから慶事に使われるようになり、やがて祭りの半纏・法被として使われるようになったとされています。

紗綾形

紗綾形

二の字

漢数字「」を配列した文様で、シンプルに配列した柄が目を惹きます。二匹の龍や下駄の跡に例えられることがある柄です。

二の字

二の字

麻の葉

もともと魔除けの意味がある三角形が集まってできた六角形は、より強力な魔除けの力があると考えられました。また、麻の丈夫さ・成長の早さにあやかって子どもの健やかな成長を願い、赤ちゃんの産着や子どもの着物によく使われる柄でした。

麻の葉

麻の葉

檜垣

檜垣とは、檜の薄板を網代(網の代わりに竹などで組む漁具)のように斜めに交互に編んだ古典的な文様で、帯地などに広く用いられています。

檜垣

檜垣

松皮菱繋

松皮菱とは菱形の上下にさらに小さな菱形を重ねたように見える柄です。松の皮をはがした形に似ているのでこの名前がついたといわれています。松皮菱中に草花などのほかの文様を入れて構成するのが一般的です。

松皮菱繋

松皮菱繋

籠目

竹籠の網目を文様にしたものです。この形には邪を払う力があるとされ、魔除けの印として使われていました。インテリアでは襖紙の文様として知られており、壁紙などでもそのアレンジが見られる。

籠目

籠目

釘抜き繁

元々は打ち込んだ釘を抜き取るための道具の座金を図案化したものです。「釘を抜く」=「九城(くき)を抜く」つまり、多くの城を攻略する縁起担ぎ ”立身出世” に繋がる模様です。遠くからも視認しやすいシンプルさもあり、多くの武家・武将に好まれました。他にも、「釘を抜く」=「苦を抜く」という意味もあるそうです。「釘抜き」は”重点・支点・力点”の三点を合わせて力を発揮することから、”結束による打開”に例えたとも。また”身を守る”といった意味もあるそうで、鳶職人さんの半纏の柄にも多く引用されています。

釘抜き繁

釘抜き繁

組亀甲

組亀甲とは、六角形の亀甲になるように網目を組み込んだ模様の事です。亀が長寿の象徴であることから、亀甲も長寿を意味する吉祥柄です。六角形の中に他の模様を組み合わせるアレンジも数多くあり、今でも様々なお祝いの席で好まれている柄です。

組亀甲

組亀甲

 

正三角形、または二等辺三角形を並べた幾何学文様で、単純な文様のため世界各国で使用されてきており、日本でも弥生時代から見られたとされています。魚の鱗に似ていることから近世になってこの名が付いたとされています。厄除けの文様として守護の意味を込めて使用されることが多かったとされています。また、現代でもインテリア、ファブリックでも使用されています。

鱗

これらの他にも、前述の市松、青海波、御所車、吉原繋ぎなども総柄に使用されることがありますし、古典的な文様のみではなく、現代的な文様やオリジナルのデザインで総柄の半纏・法被を作ることも可能です。今回紹介させて頂いたような、元来のデザインを知って頂いた上でアレンジ頂ければより良いもの、愛着の湧くようなものが出来上がると思いますので、その一助となれば幸いです。デザイン、生地、染色方法などについて詳しく相談したいという場合は、京都の老舗『加藤健旗店』までお気軽にお問い合わせください。妥協したくないという気持ちに寄り添い、最高の半纏・法被が作れるように提案させて頂きます。

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